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極めて危険 安倍変身の裏側

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極めて危険 安倍変身の裏側 すべてを決めているこの男の本当の正体
(日刊ゲンダイ2013/10/5)





東京五輪の開催決定を受け、自民党の招致推進本部が3日に党本部で報告会を開いた。
参加議員の意見交換になると、安倍への露骨なヨイショ発言が飛び交っていた。
「安倍総理の本当に犠牲精神あふれる努力が招致実現の大きな力となった」(大西英男衆院議員)、「汚染水をどう扱うか。最終プレゼンでの総理の決断を間近で見て、とても感動した」(若林健太・前外務政務官)といった調子で、臆面もなく安倍をヨイショ。安倍本人は出席していないのに、ひたすら褒めちぎっているのだから、ブキミだった。


最終プレゼンで安倍が世界をだました「原発コントロール」発言が、どうして「犠牲精神」や「感動」に結びつくのか。全く理解に苦しむのだが、それだけ党内は「安倍サマサマ」ムード一色ということだ。

この日、推進本部の事務局長として司会・進行を務めたのは、萩生田光一衆院議員。安倍に自民党総裁補佐という肩書を与えられ、安倍の別荘にも招待される「最側近」のひとりだ。安倍礼賛が側近を通じて、本人の耳に届けば、覚えもめでたくなる。安倍が気を良くすれば、地元に五輪関連の予算をつけてくれるかもしれない。見え透いたヨイショには、そんな魂胆もあるのだろう。

さながら「金正恩マンセー」のような自民党内の光景だったのだが、これでは安倍もツケ上がるわけだ。周囲に「俺のおかげで増えた税収だから、どう使うかは俺が決める」と豪語し、消費増税と大企業優遇の経済対策を官邸の独断で決めてしまう。税収の使い道を議論すべき国会は4カ月近くも開こうとせず、自民党税調内で復興特別税の廃止に異論が出ても、「反対するなら総入れ替えだ」と恫喝して、黙らせてしまう。

民主政治を完全否定したような安倍官邸の暴走なのだが、なるほど、自民党内が「安倍さま、バンザイ」というムードならば、これも当然の帰結かもしれない。

それにしても、不思議なものだ。安倍は6年前に腹痛と下痢に苦しめられ、ほとんど何もできずに政権を放り出した無責任男だ。世間に散々「無能」のレッテルを貼られ、一時は本気で議員辞職を考えるほど落ち込んでいたという。かつての「史上最低の首相」が、今や、すっかり独裁者気分で舞い上がっているのである。安倍のハイテンションは持病を治すためのラドン治療の“副作用”ともいわれているが、それだけでもないだろう。黒幕か誰か裏にいるのか。安倍変身の裏側には一体、何が潜んでいるのか。これを解き明かせば、独裁者気取りの薄っぺらい正体も見えてくるだろう。

◇倍をのさばらせる黒幕の正体

安倍が大手を振ってデカイ顔していられるのは、「向こう3年間、国政選挙がないため」といわれている。衆参の圧倒的な議席数が揺るがなければ、与党内も霞が関も従うしかない。だから、法制局長官の交代のようなデタラメ人事にも皆、沈黙しているのだが、それは表向きの理由である。

安倍がのさばっていられるのには、裏がある。安倍変身の背後にはさまざまな「黒幕」が存在する。特に大きいのは「財界」と「メディア」を味方につけたことだ。

就任以来、安倍がやっていることは、財界を喜ばせることばかりだ。公共工事の大盤振る舞いに始まって、経団連が推進するTPP参加にも前のめり。原発事故はてんで処理できないくせに、財界の要望とあらば、原発再稼働に積極姿勢となり、原発技術を海外にトップセールスで売り込む。産業競争力会議のメンバーに楽天の三木谷社長を加えるなど、新興財界にも目配りする。

揚げ句が、今回の法人税の大減税である。
「安倍首相は、消費税アップで庶民に痛みを押し付けながら、大企業の法人税はまけてやる。復興法人税の廃止で被災地を置き去りにする。増税の大義名分は社会保障の充実だったはずなのに、年金の受給額をカットし、高齢者の医療費を倍増させる。庶民を石ころのように扱っても、財界を味方につければ、政権は安泰。安倍首相の経済政策は、そんな歪んだ考えが透けて見えるかのようです」(筑波大名誉教授・小林弥六氏=経済学)

一方、大メディアは完全に安倍政権のポチと化している。安倍は就任早々から、大手マスコミ幹部と高級レストランで会食・懇談を重ねてきた。フジテレビの日枝会長のように一緒にゴルフを楽しむ経営者もいる。元NHK政治部記者で元椙山女学園大教授の川崎泰資氏はこう言う。

「メディアの経営者が堂々と政権トップと会食するなんて、欧米先進国では考えられないことです。権力の監視こそがメディアの使命で、政権中枢との接触はタブー視されています。それなのに、安倍首相はぶら下がり取材を拒否しながら、メディアをえり好みして幹部を呼び出す。恭順の意を示せば、単独取材に応じるなど便宜を図る。“お近づき”になれないメディアの焦燥感を募らせる狙いもあるのでしょう。こうして御用メディアを通じて、自分の都合の良い時だけ情報発信できる体制を作った。唯々諾々と従っている日本のメディアは本当に情けない限りです」

◇戦後否定派に支えられた病的な〝躁状態〟

もっとも財界やメディアの安倍応援団は表向きで、その裏には日本の「保守勢力」という妖怪がいる、それこそが安倍の本当の黒幕なのだろう。政治評論家の森田実氏はこう言った。

「私は敗戦直後から戦後社会を見続けてきましたが、先の大戦に無反省の勢力は必ず存在し、陰に陽に政界に影響を及ぼしてきた。なぜ、日本だけが戦争犯罪に問われるのか、欧米諸国も同じことをやったではないかという考えから、『押しつけ憲法を潰せ』と、戦後日本を否定してきたのです。しかも日本の保守勢力の主流は、従米右翼だからタチが悪い。特にレーガン政権の頃から共和党系の『ジャパンハンドラー』たちと結託し、勢力を広げ、この国の右傾化を進めたのです」

こうした勢力が「民主党が潰れた今こそチャンス」とばかりに安倍政権を支えている。個人より国家が大事、平和国家より戦争ができる国を目指して、憲法を変えようとしている。

そんな黒幕の期待に応えようと、妙な使命感に高揚しているのが、今の安倍だ。政治評論家の野上忠興氏は「安倍首相の自信は虚勢だ」とこう言う。

「演説ひとつとっても、自信マンマンに見えますが、裏では身ぶり手ぶり、ひと呼吸のタイミングまで練習しているのです。今度は失敗できない。そのトラウマを隠すための虚勢で、つまり、本人も走り続けるしかないと分かっているのでしょう」
だとすると、安倍のハイテンションは歪んだ保守勢力に支えられた病的な“躁状態”と言えるかもしれない。恐らく安倍はさらに右傾化を加速させ、中韓叩きに血道を上げるのだろう。安倍独裁の下で、この国は極めて、グロテスクで危険な道を歩もうとしている。